呼吸について
- 2017.10.07
- 更新日:2022.02.09
- 身体
呼吸。息を吸って吐くこと。
今でこそ、自分の呼吸を自然に意識して生活するようになったけれど、若い頃はどちらかというと、「呼吸法」なんて聞くとちょっと胡散臭い世界のように思っていたフシがある。カルトとオカルトと身体に関するものが、自分の中でごっちゃになっていたようだ。まあ実際、胡散臭いものも沢山あるし、子供の頃にオウムなどを見てきた影響もあるような気もする。
早すぎたマインドフルネス
若い頃の自分はどちらかというと、サブカル的な視点で仏教に近付いてみたり、「断食って何かヤバいんじゃない?」という軽過ぎるノリで友人と断食道場に行ってみたり、「呼吸」や「瞑想」なんてものは、ネタとして捉える以外のことはしてこなかった。今思えば恐ろしく失礼で恥ずかしい。
ところがそのうち山に登ったり、走ったり。徐々に自分の体を使うようになってくると、自分の姿勢や呼吸の仕方というものがいかに体の調子に関わってくるか、ということを思い知らされることが増えるようになった。特に山関係で出会った人たち、登山家や山伏や鷹匠の方など、自然と共に生きている人たちの身体感覚というものは独特で、魅力的だった。皆さん自分の意識や身体を、いかにフラットな状態に保つか、ということを大事にされていたようだ。
まあそれでも当時の自分には中々実践する気にはならず、どこか遠い世界の話のように聞いていた。
オシャレさに惹かれ・・
始めたきっかけとしては、忙し過ぎて体と頭の調子があまりにも悪くなってきたため、という割とありがちな理由である。当時はブラックめな飲食業界に勤めていたので、毎日が激務の中、睡眠の量も全く足りていなかった。
『呼吸の本』に出会ったのは確か、表参道の青山ブックセンターで特集が組まれていて気になったんだと思う。2011年代前後くらいだろうか。加藤俊朗という人の著作だが、谷川俊太郎も一緒に名を連ねているところにまず惹かれた。自分の好きな詩人が一緒というだけで生まれるこの安心感、そして加藤氏の語り口も柔らかく、これなら素直に読めそうだと思った気がする。オシャレな本屋でそこまで気負わずに買えたこともあり、変な先入観に捉われずに済んだのかもしれない。
実際、本はあっという間に読み終わり、付属のCDをiPodに入れて寝る前に聴きながら実践してみた。
3種類の呼吸を実践
CDの内容としては、大きく分けて3つある。
- 足を地につける呼吸
- 丹田を意識した呼吸
- 言霊を意識した呼吸
全部通して聴くと1時間くらいだろうか。一番初めにやってみたときは、あまりの心地よさにびっくりした。(何度かやるうちに、途中で寝てしまう程リラックスしてしまうようになったが・・。)基本的に、「無理なく、気持ちよくやってください。」というスタンスの加藤氏なので、体の力を抜くよう再三言われる。そうして何度も体を緩めたり、意識の先を体の各部に巡らせたりしているうちに、体がだいぶほぐれていることに気付く。
実際にやってみて初めて気付かされたのが、いかに普段は自分の意識が体の偏った部分に集中しているのか、ということだった。まあ、自分の場合は主に頭だ。普段の飲食業での激務に加え、プライベートな時間でもPCに向かい絵を描き、コーヒーを浴びるように飲み、と常に覚醒状態で疲弊しきっていたのだと思う。
例えば、「言霊を意識した呼吸」では、右の足の先から、ふくらはぎ、もも、と順に意識を向けていく。寝っ転がって、本当にただ「意識する」だけ。そうすることでおそらく、偏って集中している意識を分散させて、力の入りすぎているところを緩めているんじゃないかと思う。
終わってみると、床に沈み込むんじゃないかというほど、体全体の力が程よく抜けている。(だから途中で寝てしまうのだが・・)
今朝久々に自分でも通して聴いてみたが、やはり体をほぐすのにとても良い。自分一人でもやれないことはないが、加藤氏の声に従ってやる方が意識をきちんと外に向けられて、余計なことを考えないで済むので集中しやすい。
というわけで、もしやる時はあまり途中で中断されないような環境で行った方が、のんびり集中して出来るかと思う。大事なのは出来るだけ余計なことは考えず、呼吸することのみに没頭する、ということ。
それだけで貴重なリラックス時間となるので、オススメダゼ。
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